夏涼しく、冬暖かく 空気というのは熱を伝えにくいという特長をもっています。
毛皮やセーターが暖かいのは、起毛が空気を閉じこめていて、その空気の壁が外気を遮断しているからなのです。
実は、畳はたくさんの空気を含んでいます。
「畳表」の原料となる「い草」の断面は、まるでスポンジのようになっていて、細かいすきまには空気がたくさん含まれています。
畳の土台となる「畳床」の原料の「稲ワラ」の断面は、例えるなら段ボールの断面のようにポッカリと空洞になっているので、ここにも空気がしっかり詰まっているのです。
ですから、夏は暑さを遮断してヒンヤリ涼しく、冬は外の冷たい空気を遮るので暖かいのです。
なぜ、畳を見ると「ゴロリ」と寝ころびたくなるのか、分かる気がしますね。
梅雨のジメジメした時期に、フローリングの上を歩くと、ペタンペタンといやな感触が。
でも、畳の感触は一年中あまり変化がなく、気持ちよく過ごすことができます。
それは、畳が湿気を吸い取ってくれているからです。 実は、畳は呼吸しているのです。
その吸湿能力は、畳一帖分あたり、約500ml(ミリリットル)と言われています!
コンビニエンスストアなどで気軽に買う、小さめのペットボトル一本分の水分が、たった一枚の畳に吸収されるのです!
また、その吸収スピードは遅く、激しく変化する日本の風土に最適です。
そして、吸湿性だけではなく、乾燥した季節には、ほどよい湿気を放出する機能もあります。
このように、室内の湿度を自動的に調節してくれる「畳」は、湿度の高い日本の気候にピッタリです。
大気汚染の原因になっている「二酸化窒素(にさんかちっそ)」。
人体にも悪い影響を与えるその物質は、刺激性があり有毒なもので、大気汚染物質に指定されています。
実は、畳には空気を浄化する作用があります。
「い草」のスポンジのようになった箇所には、湿気を吸収する特長があると前項目で説明しましたが、実はそのスポンジ部分が、「二酸化窒素」を吸収し、空気を浄化する作用があることが、最近の研究で明らかにされました。
例えば、新築の家を建てようと思ったとき、建材を決める際に気になるのは、価格。
そして、一番に考えるのは「難燃性」ではないでしょうか? 意外に思えるかもしれませんが、実は、畳は燃えにくいのです。
湿気を適度に含むので、すぐに火がつくことはありません。 また、畳表は「い草」をがっしり編み込み、畳床は「稲ワラ」をぎっしり圧縮させているので、燃えにくいのです。
ですから、例え火がついても、一気に燃え上がることはありません。
タバコの焦げ跡がついた畳を見たことがある人も多いと思いますが、案外大きなタバコの焦げ跡が残っているのを見たりすると、そのことが納得できるかと思います。
尚、畳は植物で出来ているので、燃えても有毒ガスが発生しません。 消防庁も認定するほど、畳の難燃性は認められています。
日本人は、未だに床の上で生活をすることが多いのです。
座る、立つ、寝ころぶ、寝る・・・。 その動作一つ一つに優しいのは、やはり畳です。
実は、畳には適度な弾力性があるのです。
「畳表」は、顕微鏡で見ると断面がスポンジ状になった「い草」を、きっちりと編むことによってできます。
そして、「畳床」という「稲ワラ」をギュッと圧縮したものがその下にきます。
つまり、「編んだ」「い草」と「稲ワラ」という空気の層が、弾力を生むのです。
また、弾力性だけではなく、その空気の層は、余計な音を吸い込む働きもします。
実は、畳には吸音性があるのです。 畳の部屋にいると心が落ち着けるのは、そういった作用があるからです。